しだれ桑 第58号より

美術は言葉をこえて伝わる


駒ヶ根市立東中学校 教諭 小山 美香子さん(H3年卒)

中学校美術科教諭の小山さんが、信濃教育会R4年度教育研究論文「造形実験」で特選を受賞されました。「造形実験」について教えてください。

「造形実験」は、武蔵野美術大学 三澤一実教授から令和2年3月末にお声掛けいただき、「造形実験プロジェクト」に参加しました。以来、3年間にわたって共同研究をしてきた中学校美術科における実践です。小学校の「造形遊び」を継承するような実践で、素材とふれあい、表し方を試しながら自分としての答えを探究する造形活動です。「愛」「緊張感」などのテーマを、色と形で何度も試して「これが一番近い」と思う形態で表します。

3年間の造形実験の授業を通し、生徒さんや全体をみて感じたことや、これから大切にされたいことなどを教えてください。

三澤教授が「造形実験」を提唱された時に、「美術は本来、言葉をこえて伝わるもの」とおっしゃったのが大変心に響いて、造形実験を始める時には必ずこの言葉を生徒たちに伝えています。美術が苦手な人は、「形がうまく捉えられない」とよく言いますが、色と形で表現する喜びは感じてもらえると思います。ですので、普段、美術が苦手だと感じている生徒も造形実験だと楽しく取り組んでいると感じています。楽しく、熱中して取り組めるということを今後も大切にしていきたいです。

東高校生、後輩に向けてお願いいたします。

三澤教授と出会ったのは、東高校の1年生の時でした。かつて東京藝術大学大学院生だった三澤教授が上田市内で夏休みに美術講習会を開催してくださったのがきっかけです。そこからずっとお世話になっています。高校時代は出会いの宝庫ですから、出会いを大事にしてほしいです。

(旧姓 柿島)1972年生まれ。女子美術短期大学造形科を卒業し、長野県中学校教諭となる。松本市立松島中学校が初任校。南信地方の中学校を中心に勤務し、現在は駒ヶ根市立東中学校勤務。令和元年長野教弘教育研究論文で優秀論文受賞。令和2年同論文「所属することが楽しくなる美術部~アートを多岐に考える活動~」東京海上日動教育振興基金で個人研究の部門受賞。令和4年信濃教育会教育研究論文「造形実験の試み」で特選受賞。

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