映像美術デザイナー 栗林 由紀子さん(H14年卒)
昨年は、美術を担当された映画「ウイアーリトルゾンビーズ」が公開されました。映像美術デザイナーとはどのような仕事でしょうか。また、この仕事を目指した理由はなんでしょう。
映像美術デザイナーは、オファーを受け映像の世界をイメージしてデザインする仕事です。携わる作品(CM・映画・MV)には必ずストーリーや設定があり、それに沿って世界を考えます。記憶に残るような目立つセットを作ることもあれば、造ったセットが全く映らないようなCG合成撮影もあります。
大学を卒業する時に進路が決まっておらず、やりたいこともわからず悶々としていた時に、友人から美術デザイナーが助手を探していると紹介してもらったことが、この仕事をするきっかけになりました。どの作品も同じものを作ることはないので、いつもワクワクして夢中になりました。楽しいことばかりではありませんでしたが、キャリアを積んでいくうちに、自分でセットをデザインして決めたり選んだりしたいなと思うようになり、今に至ります。
栗林さんがされている広告や映画などの映像作品への思いを聞かせてください。
どのジャンルの仕事でもアイデアは簡単には出てきませんが、悩んだ時は、これおもしろい!素敵だな!と自分がときめくものを選ぶようにしています。撮影までにどれだけ考えて準備万端にしておけるかで作品のクオリティーが変わると考えているので、いつもギリギリまで粘って仕上げていきます。映像が完成するまでには、美術部以外にもたくさんの人が携わります。全チームのセンスと技術の結果で作品が生まれると思っているので、その一員として作品のクオリティーを上げられる美術デザイナーでありたいです。自分が納得してその時の最大の努力でやった仕事はどれも誇れるものでありたいので、これからも真摯に仕事と向き合っていきたいと思います。
高校時代の思い出と、東高校生にひとことをお願いいたします。
美大に進学したいと思うようになりましたが、美大受験が何もわからなかったので、当時の美術の小林康光先生に相談しました。そこでデッサンで一番大切な〝ものを見て描く〟ということを教えてもらいました。自由に美術室を使わせてもらえたのも小林先生のおかげですし、やりたい気持ちを応援してもらっていたと感じます。
東高のみなさんにお伝えしたいことは、勇気を出して挑戦をしたら、得られることしかない!ということです。なんでもやってみないとわからないと思っているので、他の人からの意見も、とりあえず試してみたりします。その繰り返しで、全てが経験になっていくのだと思います。
1983年生まれ。女子美術短期大学部デザイン学科卒業後、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科3年時編入、卒業。その後映像の世界に入る。2018年イタリアA’DESIGN AWARD 映画映像アニメーション部門GOLD受賞。2017年 映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』 美術を担当。2019年 映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』 美術を担当。その他NTTdocomo星プロシリーズ、資生堂uno、アサヒTHE RICH、三井住友銀行などの数多くのCM美術を手がけている。
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