活躍する同窓生  しだれ桑 第54号より

人々の記憶に留まる劇場づくり


上田映劇 支配人 長岡 俊平さん(H23年卒)

子どもの頃から、映画に携わる仕事に就きたいという夢を持ち、大学では映画理論を研究されていたと伺っていますが、どのような学生時代を過ごされていましたか?

学生時代は、「映画」を通して自分に何ができるかを模索していました。映画の自主制作や映画館でのアルバイト、映画理論の研究などを行ってきました。そのなかでも、自分が一番興味を持った映画理論の研究に行きつき、研究テーマに沿った映画作品を繰り返し観ていました。私は、ジョン・カサヴェテスという「アメリカ・インディーズ映画の父」と呼ばれる監督をテーマにし、彼が活躍した1950~60年代にかけてのアメリカ・インディーズ映画を研究してきました。

研究者という道を選ばず、上田映劇存続の為に働くことを決意したきっかけはなんでしたか?

上田映劇存続という活動は、今しかできないことだったからです。映画の研究は、この世に映画が作られ続ける限り行うことができます。しかし上田映劇は、映画館という「建物」であり、有限の存在です。誰かが手を加えなければ無くなってしまい、人々の記憶のなかからもいずれは消えていってしまいます。築100年を超える映画館は、全国的に見ても決して多くはありません。歴史的に見ても貴重なこの劇場を守り、人々の記憶に留めたいと思ったからです。

上田市以外からの来館者も増えているとお聞きしました。「上田映劇」を通し、内外に向けてどのようなアピールをしていこうとお考えですか?

まず、「上田映劇」という築102年を迎える劇場があることを知っていただく活動を行っていきたいです。上田映劇は2011年に一度は閉まった(映画の定期上映をやめた)映画館で、上田市内の方にもそのイメージが払拭できていない部分があります。その状況を打破するべく、歴史的に見ても価値のある建物であることを発信していくと同時に、ここを訪れた人たちが「自分の劇場」と思ってもらえるような場所づくりをしていけたらなと思っています。

ご自身の高校時代の思い出と、今の東高校生にひとことお願いします。

自分の高校時代を振り返ったときに、上田東高校で過ごした3年間はとても貴重で有意義な時間だったことが思い起こせます。高校時代の友人や先生方と過ごした時間はかけがえのないものでした。なにより、東高校の生徒の自主性を養う校風が今の自分を作っているように感じます。私が高校生だった頃(10年前)とは、高校生の皆さんを取り巻く環境は一変しているかとも思いますが、高校生という今しかない時間を存分に楽しんでください。

1992年5月生まれ。2015年東京工芸大学芸術学部映像学科卒業。2017年日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻卒業。2017年4月上田に戻り、現在の上田映劇に就職。上田の映画文化と上田映劇を発信するため、日々邁進中。

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