「自由と責任」・「変化対応」

学校長　窪田 善雄

先日、校長室の戸棚と壁の隙間に、大きな横長の木板がほこりを被ったまま立て掛けてあるのを見つけました。木板には太く力強い書体の文字で「自由と責任」と彫り出されていました。これはかつて校舎のどこかに飾られていたものではないでしょうか。裏をみると「昭和４９年林業科卒業生」とありました。

上田東高校の学校目標の一つは、「自主自律」＝「自由な精神と責任・規律を重んじる態度を養う」ことです。欲望のままに行動することは、一見自由に見えますが、実は「欲望」という「動物的本能」から自由になっていません。本当の自由とは、自らのあり方について自分に命令することであり、「自由」とは、まさに「責任・規律を重んじる態度」なのです。以上は、哲学者カントの受け売りですが、「自由と責任」の木板は、まさに本校学校目標を高らかに謳い上げるものであり、素晴らしい教育資源を同窓生の皆様からいただいた思いです。

さて、昨年度の本校創立１２０周年記念式典では、同窓生の皆様から、さらにもう一つ素晴らしい教育資源をいただきました。それは鈴木敏文会長の座右の銘「変化対応」の石碑です。変化する情勢に迅速に対応する力を付けることは、これから社会の荒波に巣立つ高校生にとって必須の課題となりましょう。さらに言えば、そもそも変化する事態を正しく把握する力も必要です。そこで新たに本校の学校目標の一つに「変化対応」を付け加えることにいたしました。

「自由と責任」そして「変化対応」。先輩の方々からいただいたこの貴重な指針を学校目標として、上田東高校は新たな飛躍を目指します。その決意を新たにしつつ、また創立１２０周年記念式典でのご厚情に深く感謝しながらご挨拶といたします。